古文書ってこうやって読む
文章の中身が読めなくてもパッと見ただけでわかることがあるんだよ。
そのあたりから覚えていこうかな。
クイズやゲームみたいなものだと思って見てごらん。
クイズ? ゲーム?? うん、ボクそれなら好き!!
字が読めなくてもゲームみたいに見ていくの? どんなんだろう・・・
古文書の中で将軍(しょうぐん)がいた時代というのは、特に身分を大事にしたんだ。
こういう手紙でも身分によって書き方が決まっていたんだ。
特に偉(えら)い人ほど、それを守ったんだよ。自分が偉いんだということをみんなに示すためだ。
その一番のしるしが、一番右、古文書の最初に書いてあるマークのようなもの「花押(かおう)」だ!
これだけで誰が差出人かわかっちゃう。。。というか、わかれっ!!と言っているようなものだよ。
将軍はただ一人の人。
なので名前はかかなくても、この花押というサインを書けば、わかるというもの。
そして、次の行の最初(さいしょ)にある「下」という文字。
これは「くだす」と読むんだ。命令するみたいな意味だ。
下文(くだしぶみ)の時には、花押は青墨(おあずみ・せいぼく)で書かれたんだって(青墨はすこし青みがかった墨の色)。
もうこれだけで、その時の将軍が「ワシが書いたんだぞ~!命令に従(したが)え!!」っていう手紙ってことだよ。
これをもらった人は、「ははぁ~~~!!」と頭を下げたんだろうね。
こちらは貴族(きぞく)のものだ。
日本の明治時代以前、貴族といえばその一番上の人は天皇(てんのう)だ。
その下に右大臣とか左大臣とか貴族の中でも偉(えら)い人たちがいた。
その名残(なごり)がひな人形だよ。
天皇は偉いからいちいち字では書かない、口で伝えたんだと。
でも聞き間違(まち)いやわざと間違って伝えられたとする人もでてくるんで、こうして紙に書いて残したんだよ。
こういう古文書を「口宣案(くぜんあん)」とか「宣旨(せんじ)」というんだ。
「宣」という字は、のべる=伝える、命令するという意味だ。
つまり、これらは天皇からの命令書だね。
特徴(とくちょう)は、差出人(さしだしにん)の名前も花押(かおう)もないということ。
命令を出した人は一人しかいないから、名前すら書かない。これを書ける人は一人しかいないからね。
この写真の右上にちょっと切れちゃってるけど「上卿」って書いてあるんだ。
天皇よりは下だけど、かなり上の地位(ちい)にある人宛(あ)てという意味だ。
そして慶長元年~という日付(ひづ)けの最後(さいご)に「宣旨(せんじ)」と書かれていること。
この日に天皇がこの手紙を渡した人に対してこう言ったぞ、命令したぞ!忘れるでないぞよ!!ってことだね。
こちらは将軍(しょうぐん)ではなく、今でいうお役所が書いたものなんだ。将軍家政所(しょうぐんけ まんどころ)と最初(さいしょ)に書いてある。
政所とは政治の仕事をおこなう場所、役所のことだ。
政所が出した何かの手紙だってことだね。
差出人(さしだしにん)が一番最後(さいご)に書かれているけど、一人の名前じゃないね。これもよく見られることなんだ。
今流に言えば、将軍のお役所からこういうことを命令する。〇〇部長、△△課長、□□担当者が伝えましたよ!ってことかな。
こちらはお寺が書いた古文書なんだ。
将軍やお役所が出した下文と様式は同じなんだけど、差出人(さしだしにん)がお坊さんになっているよ。
このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。
〇将軍は花押だけ。名前なんか書かない。
〇貴族にもしきたりがある。天皇は書かない。伝えるだけ。
なので、名前も書かない。
〇政所とあれば、お役所からの手紙だ。
へ~、そうなんだ。
偉(えら)い人って、徹底(てってい)して偉さを見せてた感じだね。
でもみんながこの人は将軍とか知ってたのかしら・・・今みたいに記者会見とかないし、テレビもないし。
このころ、一番偉(えら)い人は、将軍だけど、その一方で貴族もいた。
いわゆる朝廷(ちょうてい)という人だ。
しかも、戦国時代など日本中で戦争をしていて誰(だれ)が日本の国をまとめているのかもわからない時代。
江戸時代になってようやく将軍が落ち着いたというわけだから、江戸時代よりも前の時代は、将軍といっても知らない人もたくさんいただろうね。
でもこういう手紙をもらう人は、町人ではなくて武士だったから、武士に通じればよかったんだろうね。
一般(いっぱん)の人は、まだそのころは字を読んだり書いたりすることもできなかったし。