古文書にふれてみよう
-はじめての古文書体験-
何で書いていた? -墨(すみ)と筆-
紙は和紙。では、何を使って書いてたの?そう!墨(すみ)と筆(ふで)だ。
この時代、鉛筆(えんぴつ)やペンは日本にはないんだ。筆記(ひっき)用具は墨と筆! いつでもお習字してたってことだよ。

そうだよね、この時代、筆記用具といえば墨(すみ)と筆(ふで)。
筆に墨をつけて、書くしかない。
ボールペンとかないし、シャープペンシルもない。
そのおかげで、今もこうして古文書として読めるんだけどね。

筆箱(ふえばこ)から鉛筆(えんぴつ)取り出して、ササっと書くなんてできなかったんでしょう? けっこう大変そう。

時代劇(じだいげき)でも筆で書いてるもんね。そのくらい知ってるわ!
あ~~っ! 発見! 鉛筆や消しゴム入れてて、筆が入ってないのに、筆箱っていうわ。ここからきてるんだ、きっと。

墨ってなんだ?
墨は何からできてるの? どうやって作るの?
えっ?? 液体(えきたい)のはなかったの???

墨は今から約2200年前、漢の時代の中国で発明されたと言われ、日本では「日本書紀」に書かれているんだ。
奈良を中心に、墨づくりは徐々に近畿地方を中心に増えていき、江戸時代にみんなが文字の読み書きをするようにだんだんなってきて、全国へと広まったんだって。
中でもお寺で写経をする人が増えたので、お寺が有名な場所、奈良とか京都とかに多く墨づくりの店があるよ。

墨の材料は、煤(すす)・膠(にかわ)・香料(こうりょう)。

煤は、菜種(なたね)、胡麻(ごま)などから採(と)った油や松を燃やした時に出る煤だ。
これを集めて膠(にかわ)(動物の骨や皮や筋などから採(と)った動物性タンパク質)を混ぜて、香料もいれて混(ま)ぜるて練(ね)る!そして乾燥したらできあがり。
って、簡単(かんたん)そうだけど、そんなもんじゃないよ。

材料によって品質が変わるからよい材料と時間をかけて取り出し、練るのもただ混ぜてコネコネすればいいってもんじゃない。
専門の職人さんが手作業でおこなっていたんだ。
当然職人さんの手は、常にまっくろくろすけ!! とても貴重(きちょう)なものだったんだよ。今は機械でもできるけどね。

あっ、墨する硯(すずり)も必要かな?

筆ってどうやってできてるの?
筆もだれかが作ったものなんだよね。作るの大変じゃないのかな? 髪(かみ)の毛を束(たば)ねただけじゃ、だめなのかな~。
そんなこと、考えたことある?

筆をたくさん作っているのは、広島県(熊野町、呉市川尻町)、愛知県(豊橋市)、奈良県(奈良市)。
そのうち、広島県が約80%、愛知県が約10%、奈良県が約5%なんだって。
それぞれの産地の名前がついていて、広島だと熊野筆とか、川尻筆とか、豊橋筆、奈良筆とかいうんだ。ほかでも作っている人はいるよ。

筆は、手作りなんだ。
まず材料のメインは、毛!主に動物の毛を使うんだって。
イタチ、タヌキ、ヤギ、ウマ、ネコの毛っていうのもあるよ。
それぞれ書くときの特徴(とくちょう)がちがうんだ。
変わったところでは、人の赤ちゃんの髪の毛でつくる誕生記念筆とか、ワラ、竹など植物の繊維(せんい)やクジャク、水鳥など鳥の羽根でもできるよ。

ここでは、一般的な筆の作り方を紹介(しょうかい)しよう。

まず、毛を選んで、並べてまとめる。
この作業がきちんとできないとよい筆はできなんだ。この作業をできるようになるには10年はかかるね。

次に脂分(あぶらぶん)を抜いたり、汚(よご)れを落としてから毛をそろえる。毛がツンツンはみ出していないように整えるんだ。
根元の方を糸を巻いて、固めて、竹や桜の木で作った管(かん)につけて出来上がり。

って、簡単(かんたん)に書いたけど、そうとうな時間をかけて技術を身に着けたよい職人さんでなければ、よい筆はできないんだ。

このページのまとめ

このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。

この古文書の3つの道具とは

〇紙(和紙)、墨、筆。

〇すべて手作りだった。

〇高級品だったので大切に使った。

へー、大変なんだね。機械で作るんじゃないんだって、当たり前か。

やっぱり専門の職人さんがいるのね。一人前になるために厳(きび)しい修行(しゅぎょう)するんだろうな。。。

そうそう、昔は読み書きのできる人が少なかったんだよ。そのため、墨や筆は身分の高い人や教養の高い人しか使えない貴重品(きちょうひん)。
やがて寺子屋で読み書きを教えるようになって使うようになったり、写経をするお寺でも墨づくりが盛んになったりしたんだ。
だから、墨づくりが有名な場所はお寺が有名な場所に多いんだよ。