古文書ってこうやって読む
花押は大事なサインなんだ。
確かに私が書きましたという証拠(しょうこ)なんだよ。
サインなんでしょ? 色紙とかに書いてもらって飾(かざ)っておいたりしたのかな?
サインくださーい!!って追いかけたり?? ちょっと違(ちが)うと思う。
自分が文書を書く時、本当にそれがその人が書いたものかどうかわからないよね。
勝手に別の人の名前で書いてだましたり。
そうならないために花押があるんだ。
花押は一人ひとりが違(ちが)うデザインのもの。
このころは墨(すみ)で書いているので、書き順(じゅん)や重なり具合いだってわかっちゃう。
確かに私が書きましたよっていう証明(しょうめい)だ。
海外の人は、昔も今もサインがある。
自分の名前をサラサラと続けて書いてるように見えるけど、あれも適当(てきとう)にサラサラしてるわけじゃなくて、自分で書き方を決めてるんだ。
だからいつも同じサインなんだよ。
花押も毎回書くたびに違っていては困るよね。
なので、こういう花押のデザインにしようと決めたら、たぶんたくさんたくさん練習して、いつでも同じ花押が書けるようにしたはずだよ。
それと、花押は一人の人が一生同じものというのはめずらしいんだ。
身分が高くなると花押も変えたらしいよ。
そういうことではめずらしいのは足利尊氏(あしかが たかうじ)の花押。一生同じデザインの花押を書いていたんだ。
印鑑(いんかん)も使われていたんだよ。
名前、印鑑、花押、3つが書かれている古文書もあるよ。
印鑑って、今は赤い色、朱肉(しゅにく)というだんけど、朱色のものという感じなんだけど、古文書の世界では朱色だけではなく、黒もあるんだ。
平安時代(じだい)以前(いぜん)は、朝廷(ちょうてい)からの正式な文書でよく使われていたんだけど、だんだんつかわれなくなったんだって。
一方で、武家では花押の代(か)わりとして鎌倉時代以降(いこう)、だんだんに使われ始めて、室町(むろまち)~戦国時代には急に広がっていったんだ。
印鑑が押してある文書を「印判状(いんぱんじょう)」というんだよ。
印鑑は、花押と同じようにその人やその家の印鑑が決まっていて、書いた人の証明なんだ。
印鑑ってキミたちは使ったことはないと思うけど、家には必(かなら)ずあるはずだよ。
印鑑の使い方って古文書の時代から今も変わっていないんだ。
今も使われている花押には、この内閣の大臣たちのサインが有名だよ。
といってもあまり普段(ふだん)その関係(かんけい)者でない人が見ることがないけど。
このコーナーの最初の方にも出てきたけど、駅長さんの中には今も花押を使っている人がいるんだよ。
印鑑は誰でも押せるけど、花押はいちいち書かなくちゃいけないから、他の人がまねして書いちゃうということがしにくいからだ。
ちょっとカッコいいと思わない? 花押!! 印鑑よりもいいな~。
このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。
〇その人にしか書けない、決まったサイン。
〇なので、花押を見れば差出人の名前がなくても誰が書いたものかがわかる。
〇身分が変わると花押も変える人が多かった。
〇印鑑も使われていた。
う~ん、たしかに花押っていいかも。
かっこいいし、真似(まね)できないっていうのがいいね。
家にある印鑑って見たことあるけど、100均でも見た。
どれも同じような感じ。昔の印鑑の方がいろいろな形やデザインがあってよかったのに。。。
花押や印鑑は、最近気をつけなくちゃいけない詐欺(さぎ)のメールや手紙みたいに誰かの名前を使って、だました手紙にならないようにするための方法だったことだね。
でもね、実際にはだました文書もあるんだよ。
よく見ると文字が違(ちが)っていたり花押を真似(まね)して書いていたり。いつの時代も悪い人が考えることは同じということなのかな。。。
そして、今、社会では印鑑(いんかん)を押(お)さなくなってきているんだ。
印鑑も100均でも簡単(かんたん)に買えるし、自分だけの印鑑を持つという習慣(しゅうかん)が少なくなってきてるしね。
ということは、本当にその人自身ですって証拠(しょうこ)が示(しめ)せなくなってきているともいえる。
となると、また花押が復活するかも!!
花押は簡単にまねできないし、今でも大臣(だいじん)は自分だけの花押を持ってる。
キミも花押を今から考えて練習したらいいよ。将来(しょうらい)大臣になった時に役立つかもよ。
ということで、さあ、次のページでは、花押にチャレンジしてみるよ。
将軍になれるかも!