古文書ってこうやって読む
これまでに学んだことのまとめとして、古文書に何が書いてあるのかをちょっとっとだけさぐってみよう。
う~ん、できるかな~~~
でも、よく見てみよう。なにかわかるかもしれない。
4つのポイントがあったわよね。
それを考えてよく見てみればいいんじゃないかしら。
これは基本の形通りに書かれた古文書だよ。
①ここが本文だ。
②タイトルがここまでという「事」という文字は。。。
くずしてある字で読みづらいけど、これだ!!
ということは、ここまでがタイトル、題名だね。
備前國(びぜんのくに)とあるから、備前という場所のことに関係(かんけい)する文章ということだね。
③タイトルの次からこの手紙の中身(本文)が始まるよ。
④最後(さいご)は「如件」という文字で終わるんだけど、「ごとし」と読むらしいよ。ここまでが本文だ。
⑤そのあとには日付(ひづ)けだ。
⑥日付けの下には書いた人の名前と花王(かおう)。
ここで「沙弥(しゃみ)」と書いてあるんだけど、これは人の名前ではなくて、お坊さんの修行(しゅぎょう)をしたり、お坊さんになった人のこと。
この時代では、主に武士からお坊さんになって、そのまま政治にかかわっている人の名称(めいしょう)なんだ。
⑦最後に相手先、あて先が書かれているね。最後の文字は「殿(どの)」をくずした字だよ。
これが基本的(きほんてき)な書き方だ。
むずかしい字は見てるだけでいいよ。
読める字やわかりやすい字を中心に見ていけばなんとなくわかるぞ。
<おさらい>古文書の4つのポイント1
タイトルや本文・・・「事」という字を見つけよう。
「事」までがタイトル、そのあとが本文だ。
<おさらい>古文書の4つのポイント2
書いた日・日付(ひづ)け・・・本文のあとには日付けだ。
元号はむずかしいけど、年・月・日はなんとなく読めるから日付けだとわかるよね。
<おさらい>古文書の4つのポイント3
差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・・・日付けのすぐ下に書いてあるよ。
花押を書くこともあるんだよ。
<おさらい>古文書の4つのポイント4
相手の名前(だれに)・・・最後に出す相手の名前だ。
昔(むかし)の字やくずした字が読めなくても気にしないで!
①「下」(くだす)という字があるので、それだけでかなり目上の人から命令(めいれい)ということがわかるよ。
②花押(かおう)が大きく最初に書いてある。そうとうえらい人からのものだ。
③これが書かれたのは、日付(ひづ)けから見て、足利義詮(あしかが よしあきら)が、将軍(しょうぐん)足利尊氏(あしかが たかうじ)から代理(だいり)を任(まか)されていた時代。
正平六年とあるから元号とその時代のことをネットで検索(けんさく)してみよう。
すぐにわかるよ。
※この時代、将軍である足利尊氏は関東に行っていたんだ。
そこで京の都付近(ふきん)を足利家総大将(そうたいしょう)として、将軍の代理人のように任(まか)せられていたのが足利義詮だ。
なので、その力は将軍と同じようなもので、花押も将軍が書く位置(いち)に書いてあるんだ。
④誰あてかというと・・・小笠原遠江守政長(おがさわら とおとうみのかみ まさなが)という人に向けて書いたものだ。
①②③④から、将軍足利義詮から小笠原遠江守政長という人への命令書(めいれいしょ)ということがわかるね。
⑤本文を見てみよう。
「領(りょう)」という字があるよね。これは領地の「領」だ。
⑥それと信濃國(しなののくに)。これは地名だ。今の長野県あたりのことだよ。
〇〇の國(国)と書いてあれば、それは土地のことだよ。
⑤⑥から、信濃國の領地(土地)についての命令だってことがわかるんだ。
⑦あとね、「早」っていう字があるでしょ。
「早く(土地を)おさめなさい」っていうことなんだ。
⑧「勲功之賞」(くんこうのしょう)という字も見えるね。
勲章(くんしょう)の「勲」、賞状(しょうじょう)の「賞」という字だから、想像(そうぞう)してごらん。
意味はご褒美(ほうび)だ。
まとめると、ご褒美として与(あた)えるので早く土地をおさめなさい…と、小笠原遠江守政長(おがさわらとうみのかみまさなが)へ、将軍が命令してる(小笠原遠江守政長へのご褒美 じゃないよ)っていうわけだ。
<おさらい>古文書の4つのポイント1
差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・・・文書の最初に花押(かおう)だけがあるから、その時の将軍だ
<おさらい>古文書の4つのポイント2
相手の名前(だれに)・・・小笠原遠江守政長に
<おさらい>古文書の4つのポイント3
書いた日・日付(ひづ)け・・・正平六年十二月二十三日(廿は二十の昔(むかし)の書き方)
<おさらい>古文書の4つのポイント4
タイトルや本文・・・
「下」と書いてあるから命令文だ。
「〇〇國」「領」と書いてあるから土地の話で、「勲功之賞」だからご褒美。
「早」で、早くおさめろっていうことだ。
この古文書もとても基本的(きほんてき)な書き方をしているものだよ。
①まず日付(ひづ)けがわかるよね。
くずしてある漢字だけど、観應二年七月四日。
②日付けの下に差出人(さしだしにん)の名前を書くのが基本だったね。花押(かおう)だけが書いてある。
ということは、これもそうとうえらい人からの手紙ってことだ。
ネットで年号から調べてみると、この人は足利直冬(あしかが ただふゆ)(足利尊氏(あしかが たかうじ)の弟の養子(ようし))ということがわかるよ。
※この人は将軍(しょうぐん)ではないから、手紙の最初(さいしょ)に花押だけを書けばみんながわかる、、、ということはないんだな。
③誰(だれ)にあてて書いたかというと、一番最後(さいご)に書いてある。
これも基本中の基本だ。
ちょっと文字がむずかしそうだけど、島津大隅左京進入道(しまづ おおすみ さきょうの しんにゅうどう)と書いてあるよ。
最後の字は「殿(どの)」のくずし字だよ。
④タイトルのヒントとなる「事」という文字はどこ?
あっ!2行目の最初にあるね。ここまでがタイトルということだよ。
薩摩國(さつまのくに)と領(りょう)という文字が見えるから領地(りょうち)=土地についての手紙なんだなってことがわかるよね。
<おさらい>古文書の4つのポイント1
差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・・・日付(ひづ)けの下に花押(かおう)だけ。将軍(しょうぐん)に近いえらいだ。
<おさらい>古文書の4つのポイント2
相手の名前(だれに)・・・島津大隅左京進入道に。
<おさらい>古文書の4つのポイント3
書いた日・日付(ひづ)け・・・元号の観應はくずし字なのでむずかしいけど二年七月四日はわかる。
<おさらい>古文書の4つのポイント4
タイトルや本文・・・「〇〇國」「領」とあるから土地の話だとわかる。
今度のは差出人(さしだしにん)に注目!
①本文があって
②ここまでがタイトルだったね。
陸奥國ってあるから陸奥という場所に関係(かんけい)することだ。
③本文の後ろには日付(ひづ)けだね。
④さあ注目はココ!!
日付(ひづ)けの下に書いてあるのは・・・?
そう、書いた人の名前だ!花押(かおう)も書いてあるね。
名前が2行になってるだろ?!
これは2人の人が書いた(差し出した)ものなんだ。
日付けのすぐ下の人の方が位(くらい)の低(ひく)い人、その左にえらい人というのが決まりなんだ。
⑤そして、あてた人の名前だ。
最後(さいご)の文字は「殿(どの)」だ。
<おさらい>古文書の4つのポイント1
差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・・・2人の人から書いた人をくわしく読むと
左近将監(さこんのしょうげん)という人と相模守(さがみのかみ)という人
※左近将監は位の名前
<おさらい>古文書の4つのポイント2
相手の名前(だれに)・・・伊賀式部入道(いがのしきぶにゅうどう)に
<おさらい>古文書の4つのポイント3
書いた日・日付(ひづ)け・・・元号の文字はちょっとむずかしいけど、寛治(かんじ)元年12月26日
※廿は昔(むかし)の二十という漢字
<おさらい>古文書の4つのポイント4
タイトルや本文・・・陸奥國(今の福島県、宮城(みやぎ)県、岩手県 、青森県の全域(ぜんいき)と秋田県の一部)に関係する事がら
読める字や単語(たんご)があったらネットで調べたりして、いろいろ想像(そうぞう)してみよう!
今度は、古文書の右から順番(じゅんばん)に見ていってみようか。
①最初(さいしょ)に出てくるのが「将軍家政所下」の文字。
これは、「しょうぐんけ まんどころ くだす」と読むんだけど、「下(くだす)」は命令文(めいれいぶん)の意味だったよね。
政所というのは、お役所の名前なんだ。
ということは、「将軍家政所」というお役所からの命令文ですよってことがわかったね。
②その下から次の行の「事」までがタイトルだね。
「信濃國(しなののくに)」という文字が見えるね。もう読めるようになったかな?
ということは、場所を表しているんだね。信濃國のどこどこの地域(ちいき)の・・・
③「補任(ほにん)地頭職(じとうしょく)」
これは、地頭という役割(やくわり)に任命(にんめい)しますよっていうことだよ。
④そしてあてた人の名前だ。
「藤原助廣(ふじわら すけひろ)」という人だ。
⑤本文があって、、、本文読まなくてもタイトルでだいたいの意味が分かっちゃったね。
⑥日付(ひづ)けだ。
⑦そして最後(さいご)に差出人(さしだしにん)の名前。
これはちょっとおもしろいんだけど、日付けのすぐ下に書いてあるのは「案主(あんじゅ)」(くずしてる漢字だから読みづらいね)で、地位(ちい)の低(ひく)いお役人の役名。
そのすぐ左側(がわ)の「知家事(ちかじ)(これも役名)~」というのが次にえらい人。
その上の左端「別當(べっとう)(これも役名)」がその次にえらい人で、一番えらい人がその右側にある「民部(みんぶ)~」という人なんだ。
つまり、日付けの下から時計回りにえらい人になっていっているってこと。花押(かおう)もついてるね。
「民部」の上の文字は「令(れい)」で、この命令書を発行した人というような意味なんだ。
<おさらい>古文書の4つのポイント1
差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・・・将軍家政所というお役所
書いた人をくわしく読むと
民部小丞という役名の藤原、別當という役名の前因播守中原朝、知家事という役名の中原、案主という役名の人
<おさらい>古文書の4つのポイント2
相手の名前(だれに)・・・藤原助廣に
<おさらい>古文書の4つのポイント3
書いた日・日付(ひづ)け・・・元号の建久はくずし字なのでちょっとむずかしいけど建久3年12月10日
<おさらい>古文書の4つのポイント4
タイトルや本文・・・藤原助廣を信濃國の高井郡内中野西条幷櫁山の地頭を命じます
昔(むかし)の字やくずした字が読めなくても気にしないで!
このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。
〇差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・花押(かおう)。
※花押だけで差出人名を書かないこともあるよ。
※複数(ふくすう)の人が書いている場合もあるよ。
〇相手の名前(だれに)
〇書いた日・日付(ひづ)け
※元号はむずかしいけど、調べればだいたいわかりよ。
〇タイトル(ないこともある)・本文
※タイトルは「事」という文字を見つけよう。
※「國」と書いてあれば、その場所に関係(かんけい)することだよ。
ふ~ん。読めなくてもヒントの漢字を探(さが)せばなんとなくわかるもんなんだね。
調べたり、想像したり、ちょっとおもしろいかも!!わたし、推理(すいり)するの好き!!
こういうことを調べたり、研究している人たちだって、最初はみんなと同じなんだよ。
ヒントになる言葉を探して、いろいろ調べて、そして想像して、また調べて、結論(けつろん)を出すんだ。
まさに推理していくのと同じなんだよ。まるで謎解(なぞと)きをする探偵(たんてい)みたいでしょ?
そして、これらの古文書から、その時代のことや出来事がわかるんだ。昔(むかし)を知る大切な資料なんだよ。
この中には平安時代のものとかもあるんだけど、あて先には「殿(どの)」って必ず書いてあるよね。今も使われてる言葉だよ。
そして日付けの書き方も今と同じだ。位(くらい)によって名前を書く順番が決まっていたり、文章にタイトルをつけることも今もおこなっていることだよね。
昔から変わっていないことを知るのも大切なことだね。