古文書のシゴトをしている大人たちに
会いに行こう!
古文書修復のスゴイ仕事を見てきた
(協力:東京大学史料編纂所)

古文書を次の世代につなげていくための大事な仕事なんだ。こういう作業風景はめったに見られないよ。

ほんものを直すんでしょ? なんだか緊張(きんちょう)しちゃいそうだよね。

細かい仕事なんでしょ? たいへんそう!!

古文書修復(しゅうふく)のスゴイ仕事を見てきた1
糊(のり)づくり
修復(しゅうふく)作業は糊(のり)づくりから始まるんだ。それも修復作業のたびにその日使う分だけ糊を作るんだよ。
(協力:東京大学史料編纂所)

修復(しゅうふく)作業には、正麩糊((しょうふのり)生麩糊、漿麩と書くこともある)を作り、これを接着剤(せっちゃくざい)として使うんだ。

この糊、日本の伝統的な掛(か)け軸(じく)や屏風(びょうぶ)などにずっと使われているもので、文化財(ざい)の修復には欠かせられないもので、なんと!海外の修復家も紙資料の修復に利用しているくらいなんだ。

小麦粉(こむぎこ)に塩と水を加えてよく練(ね)って餅(もち)のようにしたあと、水中で揉(もむ)むようにして洗(あら)っていくと、下に小麦粉のでんぷんだけが沈(しず)むんだ。
その沈んだ粉(こな)と水を煮詰(につ)めて冷やしたものを糊(のり)として使う。
これを正麩糊(しょうふのり)というんだ。

使うと時には、正麩糊を馬の毛でできたこし器で何度も何度もこして粘(ねば)りを出すよ。

次にカルキを抜(ぬ)いた水(=浄水(じょうすい))と、ふのり(=海藻(かいそう)を水につけておいて出てるねばり)を加えて刷毛(はけ)で糊を伸(の)ばしていくんだ。

この糊は、濃(こ)すぎても薄(うす)すぎてもいけないよ。
またその日の温度や湿度(しつど)によって乾燥(かんそう)ぐあいが変わってくるので、修復作業のたびに作るんだ。
修復作業の最初(さいしょ)の大事な仕事だよ。

古文書修復(しゅうふく)のスゴイ仕事を見てきた2
紙を選(えら)ぶ
まだ修復作業はできないよ。修復に使う紙を探(さが)すんだ。
(協力:東京大学史料編纂所)

紙は時代によって大きく違(ちが)うし、古文書の種類によっても違うから、可能(かのう)な限(かぎ)り、同じような紙で修復していくんだ。

そのためには、修復する古文書がいつの時代のものかとともに、紙の質(しつ)、原料とその割合(わりあい)、厚(あつ)さ、色、紙を漉(す)いた時のすだれの本数や間隔(かんかく)などを細(こま)かく調(しら)べるんだ。

そして保管してあるたくさんのいろいろな紙の中から、合うものを選び出すことが大事な仕事なんだ。

合う紙がない時には、頼(たの)んで作ってもらったり、直接(ちょくせつ)に行って一緒(いっしょ)に作ることもあるんだって。

こうして修復のために選(えら)んだ紙を補修紙(ほしゅうし)というんだよ。

古文書修復(しゅうふく)のスゴイ仕事を見てきた3
修復をする
いよいよ修復作業だ。細かくて集中力が必要な作業だよ。
(協力:東京大学史料編纂所)

補修紙(ほしゅうし)を破(やぶ)れた部分の大きさに切り取り、貼(は)り付けていくんだ。
切り取るっていっても、ちょっとみんなのイメージとは違(ちが)うと思うよ。

破れた部分に補修紙を重ねて、特別な刃物でひっかくように少しずつ補修紙をはがしていく感じなんだ。

そうすると紙が毛羽立って、元の古文書の破けた部分にその毛羽立ったところを接着(せっちゃく)するよ。

接着するのは、今日最初(さいしょ)に作った糊(のり)だ。

最後(さいご)はヘラでこすり、接着面を平らにして、乾(かわ)かせば完成(かんせい)!!

古文書修復(しゅうふく)のスゴイ仕事を見てきた4
修理の基本(きほん)作業 裏(うら)打ち作業
これは古文書だけじゃなくて、古い本や書道作品の修復などにも使われる作業だよ。
(映像協力:東京大学史料編纂所)

虫食いやカビなどで紙が弱っている場合には、古文書の裏(うら)にさらに紙を貼(は)って強くするんだ。

これを「裏打ち」というんだ。修理(しゅうり)の基本(きほん)作業なんだって。

裏打ち紙(美濃紙(みのし))に水で薄(うす)めた糊(のり)を刷毛(はけ)でまんべんなく塗(ぬ)っていくよ。

水で湿(しめ)らせた古文書の上に皺(しわ)にならないように刷毛で撫(な)でながら置(お)くんだ。

そのあと、仮張(かりば)りという板に張(は)り付(つ)けて、よく乾燥(かんそう)させて、乾(かわ)いたら仮張りからはがして、はみ出した裏打ち紙を切り取って完成(かんせい)だ。

古文書修復(しゅうふく)のスゴイ仕事を見てきた5
修復の仕事のまわりには
修復のスゴイ仕事は、修復の専門家だけの力じゃないんだよ。
(協力:東京大学史料編纂所)

修復をするためには、さっきも紹介(しょうかい)したように修復するための同じ紙(補修紙(ほしゅうし))を作ってくれる人が必要(ひつよう)だね。

あと、補修紙を切り取るあの刃物は売っていないので、刀鍛冶(かたなかじ)の人に特別に作ってもらっているんだって。

ほかにも古文書の資料をまとめてくれる人や大切に、しかも悪くならないように保管(ほかん)する人だって必要だ。

つまり、1つのスゴイ仕事をするために、そのまわりには同じようにスゴイ仕事をしている人がいて、成り立っているってことなんだ。

これはどんな仕事でも同じことだよ。

このページのまとめ

このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。

修復の仕事は

〇未来につなげるための仕事だ。

〇今流にやってはいけない。
できるだけその当時のまま保存(ほぞん)できるように修復する。

〇修復する人と、それを支えるいろいろな仕事の人たちが集まって
成り立っている。

修復って大変なんだな。気も使うだろうし、細かいし、いろいろなことを知らないといけないしね。

修復って、今売ってる紙をただ張(は)り付ければいいのかと思ってたら、全然違(ちが)ってたわ。ほんと、大変そうだし、時間がかかりそう。

時間もかかるし、細かい作業だし、集中力も必要だし、たしかに大変そうだね。
それに力仕事でもあるんだって。
たとえば糊(のり)を作る作業なんかは、長い時間かき混ぜたり、だんだん重たくなってきたり、紙は重いからそれを運ぶのも力仕事だしね。
どこかで体験ができそうだったら、ぜひともやってごらん。