17.1573年に、室町幕府(ばくふ)が滅(ほろ)んだというウソ。
足利尊氏(あしかが たかうじ)が興(おこ)した室町幕府(ばくふ)は、1573年に15代将軍(しょうぐん)足利義昭(あしかが よしあき)が織田信長(おだ のぶなが)によって追放されたことで終わった、とされているのは知っているよね。
追放されて、幕府が終わったのだから、義昭の将軍としての地位(ちい)も権力(けんりょく)も無(な)くなったと思うよね。
でも、事実は違(ちが)ったんだ。
義昭は幕臣(ばくしん)の細川輝経(ほそかわ てるつね)らを供(とも)にして、備後(びんご)(=今の広島県)鞆(とも)の浦(うら)に移(うつ)り、「鞆幕府」として続(つづ)いていたんだよ。
各地の大名にも、御内書(ごないしょ)(=将軍が発行する私的(してき)な文書)を出していて、今でもその古文書や、書くのに使った硯箱(すずりばこ)が残(のこ)されているよ。
天正(てんしょう)16年(1588年)に、義昭は豊臣秀吉(とよとみのひでよし)と一緒(いっしょ)に参内(さんだい)して、地位を朝廷(ちょうてい)(=天皇を中心とした皇族(こうぞく)や貴族(きぞく)が政治を行う場所)に返すまで征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)だったんだよ。
『公卿補任(くぎょうぶにん)』という朝廷の職員(しょくいん)録(ろく)のようなものにも、義昭は1588年まで将軍だったとされているよ。