「足利義教御判御教書」
【解説】
これは将軍が出した文書だよ。
京都の土地を安堵する内容で、「二条東洞院地蔵院敷地四町」とあるね。
「二条東洞院」は当時の高級住宅街で、そこの土地を「四町」知行することを認めているんだ。
●「二条東洞院」は今も京都に残る地名。二条東洞院のことについて調べてみよう。
●「四町」は広さを表す単位だけど、どのくらいの広さだろう?
ちなみに一町(いっちょう)というのは、一畝(いっせ)、一反(いったん)とともに日本で古来使用されていた面積の単位のこと。
一畝は一反の1/10、一町は一反の10倍の広さ。
一畝、一反、一町の広さを調べて「四町」がどれくらいの広さかを考えよう。
●「地蔵院」というのは京都にいまでもあるお寺だけど、どこにあるのだろう? 地蔵院について調べてみよう。
さあ、古文書をカイドクしてみよう!
一文字一文字読むのではないよ。
読まなくても、見てるだけで、だいたいのことがわかるんだ。
え~、ホント?むずかしくないのかな?
習っていない字もたくさんあるし。。。
カイドクって、謎解(なぞと)きみたいなものでしょ?
でも漢字ばっかりだし。。。アタマ痛(いた)くなっちゃわないの?
古文書は「古文書ってなに?」で学んだように、誰(だれ)かが誰かにあてた手紙だったよね。
みんなも手紙を書くときには、かならず自分の名前、相手の名前、いつ書いたのか、そして手紙の文を書くでしょ?
古文書も同じなんだ。
誰が、誰に、いつ、手紙の内容(ないよう)が書かれているんだよ。
それを見れば、なんとなく何を書いたものかがわかるんだ。
まずはそれを見ていこう。
古文書を書いた日付(ひづ)けは、赤で囲(かこ)ったところ。
だいたい、古文書の最後(さいご)の方に書いてあるんだ。
〇月〇日は読めると思うよ。
その日付けの前に書いてあるのは年号だけど、今のように西暦(せいれき)ではなく、元号を使っているんだ。
そのころはまだ西暦という考え方がなかったからね。
元号は、ネットで調べれば、いつごろかすぐにわかるよ。
自分で調べてごらん。
これは年号が最初(さいしょ)に書かれている古文書。
こういうものもあるんだ。
でも、はっきりと日付けがわかるよね。
これでカイドクの第1歩を踏(ふ)み出したんだよ。
これは年号が書かれていない古文書。
その年に書いた手紙だから年号を書かなくてもわかったんだろうね。
でも、今これを見て、これがいつ頃(ごろ)に書かれたものかはわからないんじゃないかって?
だいたいわかるんだよ。それはあとのコーナーで勉強しよう。
このマーク、花押(かおう)といって、今のサインみたいなものなんだ。
天皇(てんのう)家や将軍(しょうぐん)家、武士たちは、一人一人が違(ちが)う花押を持っていて、この花押だけでも誰(だれ)が書いたものかわかるんだって。
この古文書では5人の人が名前の下に花押を書いているね。
やがて印鑑(いんかん)のように用いられてんだけど、明治(めいじ)以降(いこう)使われることが少なくなり、今ではほとんど使われていないんだ。
古文書では、日付けの下や後ろに書くのが普通(ふつう)だけど、えらい将軍は最初(さいしょ)に書いたりもしているんだ。
そして、その時の将軍であることが花押からわかるから、名前は書いていないんだ。
最初に花押が書かれている。
名前は書かれていないけれど、これで足利義詮が書いたものとわかるんだ。
これが普通の書き方。
日付けの下か後ろに書いた人、つまり差出人の名前を書くんだ。
その時に花押を付ける人もいたんだよ。
誰にあてて書いたものかを見るには、ここにあるように最初(さいしょ)の方に大きく書かれているのはわかりやすいね。
いかにも将軍から下の者に書いた手紙だぞって感じ。
でもかならず、一番最初に書かれているとは限(かぎ)らないんだ。
※この時代、将軍である足利尊氏は関東に行っていたんだ。
そこで京の都付近(ふきん)を足利家総大将(そうたいしょう)として、将軍の代理人のように任(まか)せられていたのが足利義詮だ。
なので、その力は将軍と同じようなもので、花押も将軍が書く位置(いち)に書いてあるんだ。
実は、一番多いのは、最後に書いてあるものなんだ。
本文があって、日付けを書いて、差出人を書いて、最後にあて先を書くのが普通なんだよ。
ものすごく目立つ「下」という文字。
花押と同じくらい大きな文字で書かれてる。
これは、天下の将軍(しょうぐん)様が下の者に出した命令(めいれい)の手紙なんだ。
任命書(にんめいしょ)(この仕事につきなさいというもの)や土地を与(あた)えるぞとか、大切な内容(ないよう)の手紙に使ったもので、「くだす」と読むんだ。
この文字が入っていたら、まちがいなく、将軍からのキチンとした手紙だということだよ。
もらった人がこの「下」という文字を見ただけで、ははあ~~~!と頭を下げたんだろうね。
この「下」という文字が使えるのは、もちろん、将軍様だけだ!!
なので、すべての古文書に書いてあるわけではないよ。
これは本文の前に書かれるタイトルだ。
今の言葉で言えば「〇〇について」とかいうものだね。
ここには、「信濃國」(しなののくに)という字も読めるよね。
春近(はるちかという地区)半分という文字も読めるよ。
任命書(にんめいしょ=仕事の役を命じた手紙。辞令(じれい))だよ。
まず、「補任 地頭職事」とタイトルがあって、その後に名前が書いてあり、その名前の後ろに「右人~~~」と書いてある。
「右」というのは、右に書いてある者(名前)を指していて、その人にこういう地位(ちい)と役割(やくわ)りを与(あた)えるからしっかりやれ、という内容(ないよう)の手紙なんだ。
「右」という書き方は、今でも表彰状(ひょうしょうじょう)とかにも使われているんだよ。
差出人(さしだしにん)には7人もの人が書いてあるね。
※下の動画では音声も入っているよ!
まずは、ホンモノの古文書を見せてもらったよ。さわらせてももらった。
これは6~700年前の紙だよ。
ここまで学んだこと、覚(おぼ)えてるかな?
4つのポイント日付(ひづ)け、差出人(さしだしにん)、受取人、本文を見つけよう。
いろいろな書き方をしているけど、基本(きほん)は同じ!
むずかしい文字を読まなくても大丈夫(だいじょうぶ)だったよ。
書いてある位置や書き方の特徴(とくちょう)を見ればいいんだ!!
チャレンジしてみたら、全問正解(せいかい)できた! すごいぞ~!!
キミにもできるよ、むずかしくないよ。
さあ、チャレンジしてみよう!!
〇差出人(さしだしにん)の名前(だれが)・花押(かおう)
〇相手の名前(だれに)
〇書いた日・日付(ひづ)け
〇タイトル(ないこともある)・本文
〇花押はえらい人だけが使えるもので、花押があれば差出人名を書かないこともあるよ。
〇「下」と書いてあれば、将軍からの重要な手紙だ。
へ~。見た感じむずかしいけど、なかみは今の手紙を書くときと同じなんだ。。。
なんとなく、わかる漢字もあるし、だんだん慣(な)れてきたわ。
最初から読もうとしないで、図形を見るみたいにして眺(なが)めるといいよ。
それでね、花押なんだけど、今でも使っている人がいるんだよ。
政府(せいふ)の大臣(だいじん)たちが閣議(かくぎ)決定した時にサインするんだけど、そこには名前と花押を書くんだ。
あと、駅長さんの中でも中には使ってる人もいるんだよ。
キミも花押、作って書いてみる?