カイドクできる?
古文書ってこうやって読む
キミにも分かる 漢字、かな と くずし字
くねくね文字や、なんだかフニャフニャしてる字って思わないで。これがこの時代には当たり前の字だったんだ。

急いでたんでササっと雑(ざつ)に書いたんじゃないんだよ。
自分勝手に形を変えたんでもないんだ。
こういう元の字をくずして書くように決まっていたんだ。
もちろん、上手・下手(じょうず・へた)という差(さ)はあるけどね。

雑に書いたんじゃないんだ。
ていねいに書かない人ばっかりなんだと思ってたよ。

上手な人だけが書いた字だとばかり思ってた。

漢字だけじゃない古文書の文字
藩券 (個人蔵)
これまで見てきた古文書の多くは漢字中心だったけど、漢字だけしか使わなかったわけじゃないんだ。この中には漢字とひらがなが混(ま)ざってるよ。

今、キミたちは漢字以外(いがい)にひらがな、カタカナも使うよね。

古文書だってそれぞれの時代(じだい)で、ひらがなだって使っているんだよ。

平安時代にひらがな
高野切(こうやぎれ)。
『古今和歌集(こきんわかしゅう)』を写した現存する最古のもの。

この写真を見ると、ひらがなみたいな文字ばかりが並んでいるのがわかるかな?

これは古今和歌集(こきんわかしゅう)という和歌を集めた本を写し書いたもので、飾(かざ)ったりして見て楽しんだんだって。
そのあと、お習字の見本としても使われているんだ。

古今和歌集が作られたのは、平安時代。すべてひらがなで書かれているんだ。
ということは、その時代にはひらがながあったということだね。

平安時代というイメージからか、優美(ゆうび)な感じがするな~。

変体仮名(へんたいがな)のもとは漢字
これは、今の「ひらがな」にどんな漢字が当てはめられていたのか、それがどんな変体仮名(へんたいがな)だったのかの表だよ。

「古文書にふれてみよう -はじめての古文書体験-」の「古文書の文字」のページでも出てきたように、もともと漢字があって、それを書きやすくしたり、読み方に当てはめたものが、変体仮名(へんたいがな)だったね。

文字は、もともとは中国から入ってきたんだけど、古墳(こふん)時代(5世紀)頃(ころ)にはもう日本語の1つ1つの言葉に当てはめる漢字が決められていたみたいなんだ。

その後、漢字を書きやすくしていって、それをもっともっと簡単(かんたん)にしてしまったものが「仮名(かな)」という日本独自(どくじ)の文字。
仮名にはひらがなとカタカナがあるよね。
どちらももとは漢字だよ。

今の50音(あ、い、う、え、お・・・)の発音1つ1つに当てはめる漢字を考えたんだね。
それが変体仮名なんだ。
でもいろんな人が考えたり、使い始めたから、「あ」の一文字を表す変体仮名は、これ1つという決まりはなかったんだ。

たとえば「あ」という文字だけでも6文字も元の字がある。
「か」なんて13文字も元の字がある。
それのどれを使うかは決まっていなくて、書く人の好(この)みだったんだ。
なので、今、読もうとするとけっこう大変そうだね。慣(な)れないうちは、一覧表(いちらんひょう)からあてはめて見ていくしかないかな。

でもさ、昔の人はすごいと思わない? 一覧表なんか使わずに読めたんだからね。

この一覧表は、ダウンロードして活用できるよ。
※ココで変体仮名一覧表(PDFファイル)をダウンロード

もう1つある文字の姿かたち 書体(しょたい)を見てみよう
これまでに学んだ漢字、変体仮名などとはちょっと違(ちが)う文字のデザインの話だよ。
「書体」というんだ。パソコンの授業などで「フォント」って聞いたことあるかな? そう!フォントのことなんだ。

中国から漢字が日本に入ってきた時、文字のスタイル・デザインである書体(=フォント)も一緒(いっしょ)に入ってきたんだ。

一番古い書体は「篆書(てんしょ)」。
角がない書体だ。
今、普段(ふだん)書く字の書体としてほとんど使われていないけど、印鑑(いんかん)の文字のデザインなんかで使われることもあるよ。
日本のパスポートの表紙にはこの篆書が使われているんだ。

次に古い書体が、「隷書(れいしょ)」。
左右の「はらい」が特徴的((とくちょうてき)な書体だ。新聞の題字や紙幣(しへい)に使われているよ。

その次には、「草書(そうしょ)」。
隷書を早く書こうとしてどんどんくずしていったんじゃないか? と言われているんだ。
日常(にちじょう)のやりとりに使われていたみたいだ。
上の写真に出てきたように後には書道で芸術的(げいじゅつてき)な作品として扱(あつか)われるようになったりもしているよ。

「草書」をもう少しわかりやすく、整えたものが「行書(ぎょうしょ)」。
うん! 大人の人が書く文字みたいだ。

そして、最も新しい書体が「楷書(かいしょ)」。
きちんとした角や点があって、今、一番見慣(な)れている書体だね。
一番新しいといっても完成したのは7世紀だって・・・。

これらの書体の中で、古文書に多く見られるのは、楷書(かいしょ)、行書(ぎょうしょ)、草書(そうしょ)の3つだ。

特に「楷書」は、公文書で大事な物ほど使われているよ。
くずしたりしないで、読み間違(まちが)いをしないように、きちんとした漢字で書いたんだ。

その後、日本では楷書を基本(きほん)として学校などで教えてきたんだ。
きちんとした文字を教えて、みんなに読み書きができるように間違いのない、わかりやすい書体で教えることにしたんだ。

 

もともとあった文字の形をくずして書いた文字のことを「くずし字」というんだよ。
変体仮名も行書、草書もくずし字だ。
くずし字は漢字に限(かぎ)らず、ひらがなにもあるんだよ。

このページのまとめ

このページで学んだことのポイントはこれだ!
整理しておくよ。

これは文字の歴史(れきし)だね。

〇ひらがなやカタカナの元は漢字。漢字をくずして作られた。

〇まだ仮名に決まりがなかった時代、当てはめる字はその人の好きずき。

〇漢字や仮名にはそれぞれくずし字があり、くずし方が決まっていた。
それが書体だ。

こりゃ大変だ! 読めないわけだ!!

でも、慣(な)れてくるとだんだんわかってきそうだわ。
なんか想像(そうぞう)もできるし。

今のひらがなが使われるようになったのは明治(めいじ)時代、明治33年(1900年)からなんだ。
小学校で今と同じひらがなを教えることになったからだよ。
(その時は、「ゐ」(わ行の「い」)「ゑ」(わ行の「え」)という字があり、今よりも2文字多かった。)

それまでは、子どもでもこれらの変体仮名を読めていたっていうことなんだ。これはすごいことだ!!

もう一つ、「いろは・・・」って聞いたことない?
「あいうえお・・・」と使われているひらがなは一緒(いっしょ)なんだけど、覚(おぼ)える順番(じゅんばん)が違(ちが)うね。
これは第2次世界大戦(たいせん)が終わるまでは、「いろは・・・」が主流だったんだ。歌にして覚えられたんだよ。番号を表す時にも、1は「い」、2は「ろ」みたいにして使われてたし。

キミたちのおじいさん、おばあさんの中には「あいうえお」でなくて「いろはにほへと」で習った人もいるはずだよ。
ついでに、最初(さいしょ)はカタカナで習ったらしいよ。ひらがなよりも読み書きが簡単(かんたん)だからだね、きっと。
聞いてみてみて。